参加してみて感じた事、考えた事を、トリトメモナク書きましょう。

まず「そうだ 京都、行こう」と

最初はそう決めました。理由なんて後付で。実際デモに参加するかしないかは現地行って決めればいいやと。とりあえず見とけと。決定的に怒られるかもしれまんが「在特会側のデモに参加して」彼らを直接観察しようかとも考えました。あわよくば彼らの本音を直接見聞きできるいい機会でもあるだろうと。何ならば縦読み仕込んだプラカードを用意してとか。が「やっぱりそれは無い」と精神的に自分にはムリと判断。きっと心の底から捻くれている自分の事だろうから、在特会連中に混ざっている間は適当にウヨク回路エミュレーション機能を発揮して(彼らの感覚において)普通に会話できるだろうと想像するわけですよ。さほど複雑なロジックは要らないだろうから。脳みそに負荷は恐らく掛からない。「日本人だからって善人もいれば悪人もいるのだから、外国人だからって悪人ばかりとは限らないとは私も思ってるんですけどねーそうは言ってもねー」とかそれとなく話を振ってみてどう反応があるだろうとか。でも完遂したところでいくら自分は元から捻じ曲がっているのだとしても、心は深刻なダメージを受けるんじゃないかなぁとか、やっても虚しさが募るだけだろうと。早い段階で思い直して自分で却下しました。いろいろ考えた末「やっぱり(緊急行動に)参加すべきかな」と当日の朝にプラカードを作って、そのまま京都に向かったわけです。

あんまりこういう事書くと

「左翼を擁護したいだけかw」という反応が来そうですが、というか既にされてそうですが、いやされているに違いない。まず日章旗を掲げた自分が排除される事なく終始デモに参加できた一件を以て「外国人排斥を許さない6・13緊急行動」は「思想信条の垣根をも越えた」「人間としての良識と良心の危機に対する」行動であったという事は強調しておきたい―とか書いて「日の丸ウンコと行動を共にしたオマエが何言ってんのw」という反応がどこから出るかテスト。でも全員が「日の丸粉砕!」な人間じゃないのは自明じゃないですか。ええとですね。デモに行ってない人間からしますとね、動画とか写真とかではウンコ日の丸を掲げた人と一緒に写り込んでいる参加者全員がそれに賛同しているようにしか見えない、見えないんですよ。現に「日の丸穢すな」のプラカード掲げた自分の写真、ああいうトリミングだとそこに一緒に写っている他の参加者が自分と同じグループにも見えるじゃないですか。実際は自分一人なのに。それとほぼ同じです。自分は全くスタンドアローンで行動したわけですから。他にも組織には所属しているとは思えない学生やら主婦の方やら単なる野次馬?っぽい人も大勢いました。

あの日あそこに集った人は

自分で考えて自分で行動していた筈なんです。左翼の動員ありきだとしても、です。私のプラカードを「持ちましょうか?」と声を掛けてくださった人もいましたよ。自分よりも年上の方で。組織の人間だったらそんな勝手する筈ないでしょうに。参加者は「外国人排斥を許さない」という想いは共通だったんです。そして一緒になって歩く、で訴える、それだけ。実際デモに参加してみましてね「自分はただ歩いているだけで本当にいいのだろうか…」と正直不安になりましたよ。自分はシュプレヒコール叫ぶわけでもなし、踊るでもなし、歌うでもなし。「在特会許すな!」ぐらいは言ってもよかったのだろうけど。近くでボンゴ(じゃないですよね…あの打楽器の名前)打ち鳴らされてるので余計に「叫ばないのなら踊った方がいいのだろうか?」という気分でいましたよ。旗の竿でちょっとリズム取ったりしながらね。

デモ中いろいろ話し掛けられたんですけど

当然皆さんは私が持っている「日の丸」について聞いてこられます。「世界に 誇れる 日本に」というプラカードを見せつつ言いましたよ。「在特会のやっている事は世界に誇れる事なのか?」と。ほぼ皆それで納得されたと思うんですよ。中には「確かに自分もオリンピック選手の応援とかでは日の丸は普通に振るだろうし」「私も日の丸は別に国旗で構わないと思います」と向こうから言ってくれる方もいましたよ。多分きっと私に気を遣っての事だと思うんですけど。そのとき自分は「そう!それが聞きたかった!それでいいんだよ!」という内心そういう気分だったと思います。そうだよ、そうですよ。この「外国人排斥を許さない6・13緊急行動」の参加者は「在特会は許さない・外国人排斥を許さない」という想いは共通にしなければいけないのは自明な事は勿論ですが、同時にそれ以外の思想信条は自分に言わせれば各自「バラバラじゃないといけない」とまで考えている訳です。そうじゃないと「多様な価値観を認めない」が信条の偏狂偏狭右翼のカウンターにならないでしょうに、と。その場ではぶっちゃけそこまで言いませんでしたけど。賛同のメールを送った人達もそうだと思うんです。いろんな立場の人間がいる筈なんです。本当もっとそこを強調すべきなんです。

最初に主催者の人に

(半ば強引に)「これで参加したいのでお願いします!」とプラカードと旗を見せた時も多分こちらの意図を瞬時に理解されたと思います。いまにして思えばちょっと面食らってらした感じだったですけどね。こっちは「参加を断られたらアニメ聖地巡回ツアーを敢行&観光すればいいや。良く知らないけど」ぐらいにヤケクソでしたけど。でも主催者の困惑は大変理解できる、もしかしたらトラブルになるかもしれない。正直こっちもビビリまくり、いままでに感じた事のない強烈なアウェー感。主に撮影・記録担当の人に「こいつ、何者?」という感じで早速囲まれる。いたたまれなくなって「在特会に断固抗議します!ウヨク代表で!」とか何とか言ってみるもスルーされる。イタタ。『「日の丸 穢すな 在特会」って (by 在特会)ってしたら向こうの主張みたいだよね』という指摘も受ける。そうです!ダブルミーニング仕込むの大好きなんです!このまま向こうのデモにも参加できます!心の声。既にテンパってる。ヤバイ落ち着け。「貴方のような人が参加されるのは正直心強いですよ。よくぞ来てもらえました。」主催者側の一人と思しき方から声を掛けられた時に心がちょっと持ち直しました。ああ、参加してもよかったんだ。やっぱり来て良かった。「ちょっと写真撮ってもいいですか?顔は撮さないので」快く承諾します。でも申し訳ない気も少し。「あーやっぱり右翼代表みたいなとらえ方されてるー」と。いや待てそれでいいのか。

しばらくして場の雰囲気にも慣れてきた(?)ので

「この日の丸はね、私が生まれた時に父母が家に掲げたらしくてね、祝日の朝にいつも揚げてましたよ。」とか「日本人の美徳は寛容さだと思っているんです。和の精神ですよ。彼ら在特会にそれがありますか。」みたいな事も呟いてみる。結構皆さん耳を傾けてくださいました。本当はもっと調子に乗って「京都に外国人旅行客が年間何万人訪れているのかと思うと観光協会が率先して奴らを阻止すべきなんですよ」とか「日本人はね、日本人に生まれるんじゃないんだよ。親が日本人だから日本人だと思ったら大間違いなんだ。本当はちゃんと修行して自分を磨いて磨いて、人間としての美徳人徳を得た人だけが日本人を名乗ればいいんだよ。わざわざ排斥デモしに京都来るヒマあったら比叡山で三年ぐらい山籠もりしろってんですよ」とか「在日特権を廃止して全ての在日外国人を平等に、という趣旨がもし本当なら、(特権をあるのだとしたら、それを持っていないであろうところの)在日イラン人や在日フィリピン人、在日ベトナム人や在日メキシコ人の賛同者でデモを一杯にしてみせろと言いたいですよ」とか酒の勢いでも借りれば一席ぶてたのかも知れませんが、今回車で行きましたのでデモの最中妄想するだけに留まりました。

参加者一人一人にビラを配り歩いている人がいたので

受け取ってみたら「みんなの宮下公園をナイキ化計画から守る会」と書いてありました。スイマセン、スイマセン。ナイキの07 SS STRIKES Tシャツ着てきてスイマセン。ユニクロTシャツにしておくべきでしたスイマセン。AIR TRIAX (WIDE)履いて来てスイマセン。決して消える事のない強烈なアウェー感に再びヘコみます。

自分自身がウンコ日の丸をどう思ったかについては

「あー在特会のファインダーの格好の餌食だなこりゃ」が一番率直な感想と言っておきます。向こうがネットに動画をアップするのは確定事項なんですから、マズイだろうな非常にマズイこれはーと終始見てて思いました。猫や団子は個人的には面白いと思いますけど、ウンコは全面に掲げるべきでは無かった。自分が面白くないからというよりは相手の反応が面白くないから。今回の件に限らず、敵の神経を逆なですればOKという発想は大抵の場合面白くない。「下品」という意味では戦前の「エロ伝単」の発想にも通じる。そんなものには敵の戦意喪失の効果すら無くこちらの利益には到底ならないです。桜井誠のコスプレに至っては「そんなの言われるまで全然気付かなかったよ!細かすぎて伝わらないよ!意味無いって!」と今でも思っていますけどね。

偶然なのか故意なのか

結果的に自分は終始「変・日の丸」を掲げるグループとは離れて行動していました。そうなるとヘタリア横断幕の近くでずっと行進する事になったんですね。自分はヘタリアを最初見たときは「アリだな」と思いました。穿った見方をすれば日の丸を掲げる自分の発想にも通ずると判断できなくもない、ような気がする。ブルーハーツの「青空」のフレーズもベタで直球だとは思うんですけど差別反対の主旨は非常によく分かって良いと思います。こういうのを全面に推すべきだったと思うとですよ。ええ、思うとです。

デモ終了後

「大阪から来た」とおっしゃっていたので釜ヶ崎の人だと思うんですけど、その方といろいろ会話が弾んで面白かったです。内容は「三島由紀夫の自決について」に始まって「8月15日の靖国」やら「街宣右翼ネット右翼」「右翼組織の内部ヒエラルキー」等いろんな方面に拡散しましたけど、途中は終始相槌を打つ感じになって自分の薄い知識に恥ずかしくなった次第でした。印象に残ったのが、今回デモに参加して一番印象に残ったと言ってもいいくらいなのが、「以前、今夜寝泊まりするところが無いといって困っている外国人の牧師さんを一晩泊めた事があって、新聞にもニュースで載ったんだけども、その牧師さんが『日本人は何て親切なんだ本国に帰ったらこの事を是非広めたい』と感激されたときに、あぁ左翼なのに日本が評価されるような事をしてしまったと思った。左翼なのに…」という話を聞いたときに「どんなジレンマ?」と正直思いました。思っちゃったんだからしょうがない。でも自分の場合はこういう変な思考を愛してやまないんですよ。「日本の評価が上がるから外国人は救わない」とは考えもしないんだから。困っている人は救わざるをえないんだから。ジレンマを抱えつつ自覚しつつだったら尚更偉いじゃないですか。話のネタだという事も充分承知の上ですけど。今思い出しても涙が出そうになってます。面白いなこの人と思える人に出会える経験は何よりも捨てがたいです。

(続きません)